2019年12月7日土曜日

全日本大会

全日本大会に出場しました.

ロボトレース:第四位・ニューテクノロジー賞・特別賞 
マイクロマウス:第三位・ベストマウサー・特別賞 
全競技を通しての特別賞:田代賞

トレーサ・マウスともにほぼ期待通りに走り,多くの賞を受賞しました.特にロボトレースにおける賢いラインどり(ショートカット走行)が高く評価されたことはとても嬉しく思います.

全日本大会に向けた対策:

中部地区大会以降はロボトレーサの走行速度向上を行いました.全日本大会は国内の上位陣および海外の強豪のほぼ全員が出場します.地区大会時の速度レンジではショートカット走行をもってしても彼らに太刀打ちできません.走行性能改善のため,主にハードウェア要素の見直しを行いました.その結果,全日本大会では地区大会の時よりかなり速いコーナー速度で完走することができました.

最大の変更点はスポンジとシリコンシートを組み合わせたタイヤ(以降シリコンタイヤと表記)の解禁です.シリコンタイヤは路面との相性にもよりますがゴムタイヤよりもよくグリップします.一方で,ゴムタイヤよりもコーナーで大きく変形するためオドメトリのずれを引き起こしやすいという難点もあります.自分のマシンの自己位置推定はオドメトリに頼る部分が大きく,オドメトリの精度を落としかねないシリコンタイヤの採用はこれまで見送ってきました.しかし,上位陣に対抗するためにはゴムタイヤであれ横滑りしてオドメトリがずれる速度域で戦う必要が出てきたため,シリコンタイヤを使うことにしました.シリコンシートはマイコンカーラリー販売の黒いシートを使用しました.スポンジは3mm厚のPORONですが,マイコンカーラリーでよく使われているものより少し硬めのものを使っています.プロペラによるダウンフォースの効果もあり,変形しやすいという短所を消しつつ長所を引き出せたように思います.

また,ダウンフォースの最適化を行いました.プロペラの推力を上げると当然滑りにくくなります.しかし一方で,推力を上げすぎると消費電流が大きく増えて駆動系の方に電流が流せなくなり,制御に悪影響が出ます.これらのトレードオフについて実機のログを見て吟味し,これまでいい加減に決めていたプロペラの推力をちゃんと調整しました.

ロボトレースにおける賢いライン取り(ショートカット):

上から撮影した動画をアップロードされている方がいたので紹介させていただきます.上からだとロボットの走行軌道がよくわかります.

最初と最後のショートカットのインパクトが大きいですが,実はS字カーブや細かいカーブの連続もラインとは別の経路をたどっています.お気づきでしたか?自分は特定のパターンをショートカットするのではなく,ラインを辿らない方が速く走れる箇所は全てショートカットすることを目指しています.こういった動画で見ないと派手なショートカット以外はなかなかわかりにくいですが,速く走るという本来の目的のためには細かいショートカットも重要だと考えています.

また,この動画を見ると,実はコースアウトしそうになっている箇所があることに気付きます.(コマ送りして画面に定規を当ててみた感じだとぎりぎりコースアウトはしていないと思います) 今のロボトレースは速度レンジが上がっており,走行軌道を肉眼で正確に把握することはかなり難しいです.もし,ラインとは関係なく曲がり始めるショートカット走行が今後普及していくとしたら,ラインズマンが正確な判定をすることはかなり難しくなっていくと思います.

今後について:

ショートカット走行は速く走るためのものです.より速く,安定して走れるようにしていきたいと思います.また,(勝つために企業秘密にしたい気持ちも当然あるのですが,) ショートカット勢を増やしたいのでショートカット走行についてある程度情報公開していこうと考えています.というか企業秘密的な観点だと一番バラしちゃいけない上位の人達にすでに色々話しちゃっている

マウスについては…どうしましょうか… 自分はこじまうすの安定した動きに憧れてマウスを始めたという面があり,こじまさんやほかの宇宙人と呼ばれる方たちのマウスの設計や戦略などを真似をすることで自分のマウスを進歩させてきました.それはそれでとても勉強になったのですが,そろそろ新しいコンセプトを考えないといけない時期かもしれません.

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